JR東日本水戸支社は、JR常磐線磯原駅とJR水戸線結城駅で駅構内のエスカレーターを廃止予定であることを明らかにしました。都市・交通研究所の取材に水戸支社が応じたものです。
発端はX(旧Twitter)のポスト
ことの発端は、X(旧Twitter)における一つのポスト(投稿)でした。
内容は、JR東日本(東日本旅客鉄道㈱)水戸支社が掲示したと思われるポスター。「磯原駅エスカレーター廃止のお知らせ」と題して、「2024年5月10日(金)の終電をもって、改札内エスカレーターを廃止させていただきます。今後は、階段またはエレベーターをご利用ください。お客さまのご理解・ご協力をお願いいたします。」というもの。
サイゲ(@SaitamaGateway1)さんが投稿したこの写真はまたたく間に拡散。投稿から2日間で約76万回閲覧され、電子掲示板5chでも話題になるなど大きな反響を呼びました。
JR常磐線磯原駅は、茨城県北茨城市唯一の特急停車駅で、1日の乗車人員は1,395人(2022年度。出典:JR東日本HP)。北関東の特急停車駅ですら駅構内のエスカレーターが廃止されるということが、多くの人の興味関心を惹きつけたようです。
JR東日本水戸支社の回答
都市・交通研究所は、この件についてJR東日本水戸支社に取材を申し込みました。得られた回答は次の通りです。
1.JR常磐線磯原駅のエスカレーターが廃止されるのは本当か。
→事実。2024年5月10日の終電時まで利用可能として、実際には5月中旬に廃止予定。
2.エスカレーターは誰が設置し、保有・管理しているものか。
→JRが設置、維持・管理してきた。
3.エスカレーターを廃止する理由は何か。
→交通バリアフリー法により基本に位置づけられる輸送手段がエレベーターだと位置づけられたため、2018年度にエレベーターによる移動経路を確保した。また、当該エスカレーターは設置から27年経過しており、老朽化している。これらのことと、駅の利用状況を勘案し、廃止を決めた。
4.他に廃止が決まっている、または今後廃止を検討している駅はあるか。
→今のところ計画している駅はない。磯原駅と同様の理由でエスカレーターを廃止する予定があるのは、JR水戸線の結城駅。
5.廃止にあたって利用客や自治体の理解を得たと考えているか。
→もちろん自治体には説明を行い、理解を得られたと考えている。
以上の回答が得られました。
地元自治体の反応
JR東日本水戸支社が「自治体に説明している」と回答したことも踏まえ、エスカレーターが廃止され影響を受ける地元自治体にも取材しました。
磯原駅が所在する北茨城市の都市計画課は「JRから正式な話を受けていないのでコメントは控える」と都市・交通研究所への回答を拒否しました。また、JR東日本水戸支社が自治体に説明を行っているという回答とも矛盾します。
それでは、磯原駅(茨城県北茨城市)と結城駅(茨城県結城市)が所在する広域自治体の茨城県はどうでしょうか。
茨城県政策企画部交通対策課によると、「毎年、基礎自治体も交えたJR東日本水戸支社との要望・意見交換の場は設けている」としつつも、「今回の件についてJRから説明は受けていない。関係機関と協議したい」と話しました。
JR東日本水戸支社は「自治体に説明を行っている」とする中で、茨城県や北茨城市には公式な説明がないことがわかりました。また、北茨城市は、JRから公式な説明がないことを理由に回答を拒否し、住民にもっとも身近な基礎自治体であるにも関わらず、駅の利用者を守ろうとする姿勢がありませんでした。
磯原駅や結城駅は市の中心駅で、街の顔の役割を果たしています。そのような駅からエスカレーターが廃止されることは、駅利用者にとって単に駅設備としてだけではなく、街そのものの利便性に影響する大きな改変であると考えられます。関係機関には、より責任ある対応が求められます。
このまま磯原駅や結城駅のエスカレーターは廃止されるのか、もしくは利用の延長や更新の可能性はあるのか、今後の対応が注目されます。
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