【茨城県北希望の星】ひたちなか海浜鉄道の延伸計画がさらに進展!

茨城県ひたちなか市の第三セクター鉄道、「ひたちなか海浜鉄道」はこれまで延伸を計画していましたが、本日2024年3月4日に鉄道事業基本計画の変更が許可され、延伸事業が具体的に推進することになりました。

地方都市の鉄道で延伸計画が実現に動き出すことはめずらしく、地方鉄道の活性化事例としての意義は大きいものと考えられます。

茨城県ひたちなか市の第三セクター、ひたちなか海浜鉄道は国営ひたち海浜公園まで3.1キロを延伸し、このうち半分ほどの区間については6年後の2030年春に先行開業させる方針です。総事業費は126億円余りに上る見込みで会社や市は先行開業で採算性を高めつつ、計画を進めたいとしています。

NHK NEWS WEB

ひたちなか海浜鉄道は、茨城県北部のひたちなか市を走る鉄道です。

出典:国土交通省報道発表資料「ひたちなか海浜鉄道(株)湊線の第一種鉄道事業許可について」添付資料

ひたちなか市は勝田市と那珂湊市の合併によって誕生した市で、ひたちなか海浜鉄道はひたちなか市の拠点である勝田地区と那珂湊地区を結ぶ公共交通機関です。

路線は勝田駅から那珂湊駅を経由して阿字ヶ浦駅までの14.3kmで、勝田駅から那珂湊駅まで約15分、阿字ヶ浦駅までを約30分で結びます。

ひたちなか海浜鉄道の前身は茨城交通湊線で、運営主体である茨城交通が赤字体質の鉄道事業から撤退するとの経営方針から一時は廃線も危ぶまれましたが、ひたちなか市による出資と一貫した経営支援により利用客は徐々に回復しています。

出典:国土交通省報道発表資料「ひたちなか海浜鉄道(株)湊線の第一種鉄道事業許可について」添付資料(※スケジュールは事業許可当時のもの)

延伸計画では、阿字ヶ浦駅から国営ひたち海浜公園付近を結びます。国営ひたち海浜公園は年間約200万人が訪れる茨城県北部有数の観光資源で、周辺には県庁所在地・水戸都市圏を代表する茨城県北有数の大規模商業施設「ファッションクルーズニューポートひたちなか」などま存在するため、観光客や買い物客の利用が見込まれます。

まず1期目として現在の終点である阿字ヶ浦駅から公園南口付近までの1.4kmを59億円かけて工事し、2030年春の開業を目指しています。

続いて公園西口付近までの残り1.7kmの整備を行いますが時期は未定で、1期目とあわせた総事業費は約126億円を見込んでいます。

この計画は2021年1月15日付けで国土交通省から事業許可が出ていましたが、コロナ禍などの諸事情で事業が延期になっていたもので、今回の計画変更では開業までの期間を長めに見込んでいます。それでも開業は最短6年後で、出来てしまえばあっという間の期間といえるでしょう。

計画に問題があるとすれば、勝田駅から公園地区までの路線がかなり遠回りになることです。所要時間も相応にかかると予想され、勝田駅から公園地区に直行するバス路線(所要時間は渋滞がなければ15〜25分)と比較して選んでもらえるかどうかという課題があります。また、鉄道とはいえローカル線のため繁忙期の輸送力にも限界があります。

これらに反論するならば、まず所要時間が比較的長いという点については、鉄道であるため渋滞に左右されないという利点が挙げられます。ネモフィラやコキアの開花シーズン、大規模イベント開催時には公園周辺は大渋滞になることも珍しくないため、定時性のある鉄道という選択肢があることはメリットがあります。鉄道側の解決策としては、快速運転や運行本数の増発などを考慮する必要があります。

また、輸送力に限界がある点については、潜在的な需要を見込んでいることから、むしろ事業の推進材料にもなりえる事柄です。とはいえ、ロッキン(ロック・イン・ジャパン)やラッキーフェスなど大規模集客イベントに対応できるだけの設備投資は覚悟しなければなりません。

ひたちなか海浜鉄道は、地方とはいえ人口が比較的多い都市部に立地し、かつ人気の観光地や商業施設が延伸計画地に存在するという明確な利点が有ることが今回の延伸計画につながりました。

多くの地方鉄道はそのような恵まれた利用環境にはありませんが、自治体や事業者、そして地域の協力によって沿線が活性化する事例があり、それが日本全体へと波及していくことを願わずにはいられません。

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