特番を経て1年ぶりのレギュラー
2024年3月限りでレギュラー放送を一旦終了したNHKの人気番組「ブラタモリ」。
この番組が、2024年11月に特番として3夜連続で放送され、そのフォーマットを引き継ぐ形で2025年4月からレギュラー放送が復活しています。
2024年11月の特番

ブラタモリが「復活」したのは2024年11月のこと。文化の日を挟む2024年11月2日から4日にかけての3夜連続でした。草彅剛に代わってあいみょんがナレーターを務め、テーマ音楽は井上陽水から小沢健二の楽曲に交代しました。
お題は「東海道五十七次」で、よく知られる五十三次の京都の手前で分岐して大阪(大坂)へ向かう街道の痕跡を訪ねました。
今から考えれば、この特番が2025年度にレギュラー番組として復活させるためのトライアルだったのかもしれません。
従来の課題と解決への道筋
これまで約15年間と長く続いてきたブラタモリも、避けられない課題に直面することになります。それは、タモリの高齢化です。2025年4月現在で79歳、8月の誕生日で80歳を迎えるタモリにとって、全国各地を巡るロケ撮影が体力面で重い負担になっていたことは想像に難くありません。それが2024年でレギュラー放送が一旦打ち切られた大きな理由だと想像されます。
これに対してどう対応するか。
2024年11月の放送では、1回あたりの放送時間を短くしました。従来の放送では約45分であったものを、30分に短縮したのです。これにより、同じ内容でも回数を稼ぐことが可能になります。
そして、1つのテーマを元に3回に分割して放送しました。仮に1度のロケで3回分のまとめ撮りができるとなれば、タモリの負担軽減になるというものです。財政事情が厳しいNHKの番組予算の削減にもつながるでしょう。
端的に言えば、同じ内容を薄めて放送するということです。
2025年4月からの新シリーズと課題

2025年4月からの新シリーズでは、毎週土曜日19時30分〜20時の30分番組、ナレーターはあいみょん、テーマ音楽は小沢健二(前回と同一のもの)と、2024年11月放送時のフォーマットを踏襲しています。
復活最初のお題は「伊勢神宮への旅」(伊勢路)。やはり新シリーズは前回の特番のように「旅」がキーワードになりそうです。
実際に初回を視聴したところ、30分はあっという間だなという感想を持ちました。また、前シリーズまでにも時々見られた浮世絵風のCGがふんだんに登場することに気づきました。これは前シリーズまでより内容が薄まっていることへの穴埋め、テコ入れであろうことが推測されます。確かに以前のような45分間の濃密さはありませんが、30分で気軽に見られるのも良いかなと思いました。
とはいえ、同じ「伊勢路」のテーマで5回(放送休止を挟んで6週)持たせるとは想像以上でした。タモリの負担を軽減できて番組が長続きさせるためなら視聴者としても妥協できると思いますが、かといって内容が薄まりすぎては本末転倒です。正直、これまで(4月26日、第4回まで)の放送では内容が少ないと感じた回もありました。番組の持続可能性を模索しつつ、短い時間でも内容を充実させていく必要があると感じました。
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