【本当に経営努力したか】JR東日本が吾妻線の将来について自治体に協議申し入れ

JR東日本高崎支社は、群馬県北部を走るJR吾妻線のうち一部区間について、将来の路線のあり方について協議の申し入れを行ったことを明らかにしました。

人口減少で地方鉄道の赤字が続く中、JR東日本が利用が特に少ない区間として公表していた、吾妻線の一部区間について、高崎支社は群馬県などに対し、将来の路線のあり方について協議の申し入れを行ったことを明らかにしました。

JR東日本高崎支社が協議の申し入れを行ったのは、JR吾妻線の長野原草津口から大前の区間です。
この区間の昨年度の乗客はJRが発足した37年前と比べておよそ70%減少し、昨年度の収支は4億6000万円あまりの赤字となっています。

NHK 群馬 NEWS WEB

JR吾妻線は、路線の東側にあたる長野原草津口〜渋川(42.0km)は普通列車に加えて草津温泉へのアクセスを担う特急も走っていますが、路線の西側にあたる長野原草津口〜大前(13.3km)間は普通列車のみが走る、いわゆる「ローカル線」となっています。

JR東日本によれば、長野原草津口〜大前間はJRが発足した37年前と比べて乗客が約70%減少したとしています。

しかし、その乗客減はすべて環境要因といえるのでしょうか。私には、漫然と列車を走らせ路線経営を続けてきたJR東日本にも大きな問題があると考えます。

確かに、JR吾妻線と並行して上信道(上信自動車道)が整備されるなど、沿線環境は変わりつつあります。しかし、現在の運行ダイヤを見る限りでは、どのような乗客にどの区間を乗ってもらおうとしているかという乗客目線の運行計画を行っているとは感じられません。単線という制約はあるものの、運行頻度は多くの区間で1時間に1本程度と少なく、わかりにくいランダムダイヤです。単に昔からのダイヤを昔からのまま続けているだけではないでしょうか。

JR東日本は、本当に乗客の減少を食い止め、乗客の増加に転じるような施策を自ら講じてきたのでしょうか?単に列車を往復させているだけでは、経営努力を果たしているとはいえません。

そのような怠惰な事業者が、どのような立場から「申し入れ」を行うのでしょうか。地方路線を経営するローカル私鉄は数多くありますが、自力もしくは沿線自治体の支援を得て苦しいながらもなんとか経営を続けています。そんな中、JR吾妻線はJR上越線を介して新幹線と駅前繁華街のある高崎へ乗り入れられる好条件を持っています。

JR東日本が「廃線」をちらつかせながら群馬県など沿線自治体に会議のテーブルにつけと「申し入れ」る姿は、いかにも独善的であると思います。

付け加えれば、路線の経営状況を恣意的な切り取り方、この場合で言えば吾妻線の長野原草津口〜大前だけを取り上げる行為は不公平だと思います。この区間に隣接する長野原草津口〜渋川間、もっといえば特急「草津」は特急料金の収入もあり経営状態は悪くないか黒字であるのだろうと推測されます。路線の根本にかかわる収益(根源受益)は無視して末端側だけを取り上げるのはいかにも暴論であろうと思います。

JR吾妻線の将来をめぐっては、車社会化ばかりを進める沿線自治体や周辺住民にも問題はあります。しかし、選ばれる沿線、選ばれる鉄道であり続けることが出来なかったJR東日本にも大きな責任があります。JR京葉線のダイヤ改正でも話題になりましたが、JR東日本の自助努力や地域とのコミュニケーションを拒む企業姿勢には憤慨するばかりです。

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